テーマ:風景

最(生きてるだけで)

 時枝はよく夢を見る。二十歳過ぎで失踪した息子の夢だ。夢の中の我が子は幼い。「おかあたん」と言って、布団の中にもぐりこんでくる。「甘えん坊ね」と笑いながら抱きしめようとすると、すっと虚しく腕の中で消えてしまう。  あの子はもういないんだ、心臓を握りつぶされるような悲しみに驚き、時枝は目を覚ます。  枕もとの明かりを点け、時計を…
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西Ⅱ(青い時)

 なんてタイトルの本があった。  闇が降りてくる一瞬前の空。土曜、人待ちのあいだに気がついた。  この蒼さの遠くには海がある。鋭い三日月の下、鈍色の魚が泳ぐ海がある。味気ない新興住宅地にも、深く、夢幻に沈むときが訪れる。  まもなく人が来た。すっかり濃さを増した宵闇のなか、あたりさわりのないあいさつを交わした。車に乗ったあ…
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斎(首流し)

 紅葉を眺めそぞろ歩く人々のなかで、真っ白な風呂敷包みを抱いた母の姿は、あきらかな異様を呈していた。  僕は、その背に隠れるようにうなだれて後に従いた。  「ここじゃいかん、まだ先だ」独り言を呟きながら、ひと二人がやっとすれ違うほどの路を母はずんずんと進んでゆく。数限りない好奇の視線がその手元にぶつかるたび、僕の顔はますます地面…
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西(姉妹)

 妹は、ついに故郷に帰れなかった。  樹木の間から、ウメは西の空を仰いだ。 「五人きょうだいでのこったのはワシひとりか」  報せを受けたのは、告別式が済んで七日後のことだった。団地の自治会が執りおこなってくれたらしい。遺品整理の際にウメの住所が判ったそうだ。 「最期まで身寄りがないと思われとったんか。かわいそうになあ。だ…
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画像倉庫の容量が残り少なくなった。 あと20枚もアップできるかどうか。 もともと保管庫代わりのブログだ。 テキスト記事はほとんどない。 日常的にここを見に来てくれる人は三人もいないだろう。 いっぱいになったら、もう更新はやめるつもり。 そのあとは、アルバム形式のコミュニティでのんびりやっていこうと思ってる。 (豊田…
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塔と百葉箱

夏の記憶がいっぱいあって載せきれない。 (東栄町立東部小学校跡, Olympus-S, G.Zuiko 4.2cm F1.8)
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ひとり歩き

振り向くはずないと思っていても、ノーファインダーで撮ってしまう。 (旧足助町, Okaya LordⅡA, Highcor C 4cm F3.5)
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木道

写真屋さんからは「変わった写りですねえ」と不思議がられ、プリントを見た会社のカメラ仲間には「国産レンズじゃないよね」と言われた。 たしかに他のレンズとは描写が違う。 ソフトで補正をかける余地もないほど色レベル、コントラストレベルが高い。 当たった時のリアリティはすごいが、外れの多さもすごい。 安定して使いこなすには、まだ…
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夫婦

別段、ドラマチックである必要はない。 (岡崎市, Canon Canonet GⅢQL17, Canon lense 40mm F1.7)
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白昼

カラーフィルム用コーティングのない60年前のレンズなので、逆光や、斜め方向から入る反射光に弱い。 だが、その他の部分の発色は現代的で、充分な立体感もある。 ラストはマネキン熟女(?)のカルテット。 (旧下山村大沼, Okaya LordⅡA, Highcor C 4cm F3.5)
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怖い道

対向車が来ないことを祈っていた。 (旧上矢作町達原, Olympus-S, G.Zuiko 4.2cm F1.8)
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青い暖簾と自転車

フルサイズデジタル一眼で撮った画像を、はじめて大型モニターで見せられた日には愕然とした。 自分が持っているどんな機材を使っても、この画質、この色に迫るのは無理だと思った。そして、そんなカメラを持てる人に対する羨望と嫉妬の念を抱かざるを得なかった。 あれから5年が過ぎ、フルサイズ機での画像も、Webや素人写真展のプリントで、当…
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(旧津具村天狗棚付近, Olympus-S, G.Zuiko 4.2cm F1.8)
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隧道

この道は、数年前から通行止めで車が入れない。 奥には朽ちた吊り橋と、四十年前に失われた廃集落への路があるらしい。 (東栄町と佐久間町の境, Olympus-S, G.Zuiko 4.2cm F1.8)
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うったえるものは何もない。 ふわふわとした異時間の景色。 去年の夏の終わりのモノクロ写真。 (Olympus Pen D, F.Zuiko 32mm F1.9, AGFA Photo APX100)
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飾付け

多くの風景撮影カメラマンが嫌いな電柱が好きだ。 柱の胴が円っこく写ると気持ちいい。 (旧稲武町武節, Fujica Fujipet35, Fujinar-K 45mm F3.5)
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