My thoughts

Every so often, I lose self-confidence easily. At such times, I would wish tomorrow does not come. But, strangely, everything would get back to normal next morning. …
トラックバック:0
コメント:1

続きを読むread more

最(生きてるだけで)

 時枝はよく夢を見る。二十歳過ぎで失踪した息子の夢だ。夢の中の我が子は幼い。「おかあたん」と言って、布団の中にもぐりこんでくる。「甘えん坊ね」と笑いながら抱きしめようとすると、すっと虚しく腕の中で消えてしまう。  あの子はもういないんだ、心臓を握りつぶされるような悲しみに驚き、時枝は目を覚ます。  枕もとの明かりを点け、時計を…
トラックバック:0
コメント:16

続きを読むread more

歳(晦日走り)

 大晦日だった。父と母と祖母、そして僕の四人が、居間で掘炬燵を囲んでいた。  テレビは恒例の歌合戦を映している。その画像の色が薄い。あるいは白黒のような気もする。出て来る歌手の髪型が古くさい。こんなにつまらない番組に、なぜ父たちは夢中で見入っているのだろう。無理に起きている僕は、除夜の鐘が待ち遠しくて仕方なかった。  やっと司会…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more

西Ⅱ(青い時)

 なんてタイトルの本があった。  闇が降りてくる一瞬前の空。土曜、人待ちのあいだに気がついた。  この蒼さの遠くには海がある。鋭い三日月の下、鈍色の魚が泳ぐ海がある。味気ない新興住宅地にも、深く、夢幻に沈むときが訪れる。  まもなく人が来た。すっかり濃さを増した宵闇のなか、あたりさわりのないあいさつを交わした。車に乗ったあ…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more

斎(首流し)

 紅葉を眺めそぞろ歩く人々のなかで、真っ白な風呂敷包みを抱いた母の姿は、あきらかな異様を呈していた。  僕は、その背に隠れるようにうなだれて後に従いた。  「ここじゃいかん、まだ先だ」独り言を呟きながら、ひと二人がやっとすれ違うほどの路を母はずんずんと進んでゆく。数限りない好奇の視線がその手元にぶつかるたび、僕の顔はますます地面…
トラックバック:0
コメント:7

続きを読むread more

西(姉妹)

 妹は、ついに故郷に帰れなかった。  樹木の間から、ウメは西の空を仰いだ。 「五人きょうだいでのこったのはワシひとりか」  報せを受けたのは、告別式が済んで七日後のことだった。団地の自治会が執りおこなってくれたらしい。遺品整理の際にウメの住所が判ったそうだ。 「最期まで身寄りがないと思われとったんか。かわいそうになあ。だ…
トラックバック:0
コメント:6

続きを読むread more